オトナチック
「自分では大人になったって思ってたけど、実際はそうじゃなかった。

父親が泣きながら言ったって言う、“ごめんな”に動揺した。

あいつが何を言おうがどうしようが俺には関係ないと思ってたのに、つい動揺してしまった。

父親を思う気持ちはどこかへ置いてきたはずなのに、まだ自分の中にあったんだなって思った」

杉下くんはそこで言葉を区切ると、少しだけ深呼吸をした。

それからすぐに唇を開くと、
「父親に顔を見たら見たらで、自分でもどうなるのかわからないんだ。

病床の父親に向かって何を言うのかもわからないし、何をするのかもわからない。

それこそ、暴言暴力だってありうるかも知れない。

そんな俺を止めるためにも…高浜、ついてきてくれるか?」
と、言った。

言われた私は、動揺を隠せなかった。
< 220 / 326 >

この作品をシェア

pagetop