オトナチック
「俺が逃げ出しそうになった時、芽衣子は俺のことを引き止めて、向きあわせてくれた。

俺のことなんか見捨ててくれてもよかったのに、芽衣子はそばにいて俺と一緒に向きあってくれたんだ」

「杉下くん…」

呟くように名前を呼んだ私に、杉下くんは微笑むと手を繋いだ。

「この先も俺のそばにいてくれるのは、芽衣子だけだと思った。

芽衣子が俺のそばにいてくれれば、俺は何もいらない。

契約から…偽りから始めた関係だったけど、もう終わりにしたい。

本当の婚約関係を結びたいんだ」

「――ッ…」

繋いでいない方の手で、隠すように口に当てた。

――本当の婚約関係を結びたいんだ

杉下くんの口からそんなことが聞けるとは思っても見なかった。
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