君が罪なら俺は罰を受け入れる











『山下。頼むから俺の領域に侵略するのはいい加減にしてくれ』







彼はそう言って、自分の机に傾れ込んだ資料一式を隣の机、つまりあたしの机に戻す作業をする。





あたしはその様子を眺めているだけ。












『ったく、資料くらいきちんと整理して、いつでも引き出せるようにしておけよ』






もう彼は呆れているのだろうか。



それとも未だに本気で怒ってくれているのだろうか。






席替えをして、彼が隣の席になってからほぼ毎日、彼にはこんなことを言われている。












『あー。うん、ごめんねー』





……なんて適当に返すあたしを一度睨みつけてはすぐに戻す作業に取り掛かる彼。













『謝るんなら態度で見せろよ。


 山下の資料なんだから、お前も手を動かせ』











『だって資料の整理なんて小難しいこと出来ないもん、あたし』










『あのなーそんなんでお客様に失礼ない仕事をどうやってんだよ』









お客様に失礼ない仕事って………






お客様との打ち合わせで決めたことは全部まとめてファイルして、それがいつも小原の席に傾れ込む。






するとどんな現象が起きるか。






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