君が罪なら俺は罰を受け入れる







『……………いい。

 もう少しだけ……ここに一人でいたいから……』





そう電話越しに断ってくるバカ女。



俺がいつも通りに迎えに行こうとするとバカ女はいつだってそう答える。









『時間を考えろ、女が一人でいるような時間じゃないだろ?』




努めて冷静に答える俺、けど内心は焦ってる。



バカ女を一刻でも早く迎えに行かなきゃと思って焦るけど、それでも俺の焦りはバカ女に気付かれてはいけない。



だから至って冷静な言い方をするように徹している。












『………でも………ここに来てくれるかもしれないから……。

 “嘘だよ”って……笑って……言いに来てくれるかもしれないから………』





そんな俺の考えも知らずに、バカ女はそんなことを言い始める。





捨てた男がどんな情けをかけにくる?


今頃は新しい女と楽しくやってるだろ、とか。


本当はそう思ってる、けど俺はいつもその思いを呑みこんでいる。











『………分かった。だったら気が済むまで待ってろよ』




だから、いつも俺はバカ女にそう言うんだ。



いや、本当は心の中で思ってることを、現実を、教えてやらないといけないかもしれない。



俺が悪役になってでも教えてやれば、あのバカ女も目を覚ますかも知れない。




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