君が罪なら俺は罰を受け入れる
『言ったろ、俺は友達だって?』
エンドロールも流れ終わり、場内が明るくなる。
俺の隣に座るバカ女は緊張した面でスクリーンを見つめていて、俺はそんなバカ女の腕を肘で小突く。
“行ってこい”と言わんばかりの小突きに気付いたバカ女は俺の顔を真っ直ぐと見つめてくる。
『…………………小原』
『行ってこい』
俺がそう言うとバカ女は首をユックリと縦に振った。
俺はその姿にズキッと胸が痛んだ。
(今、元彼の元に行かせれば、もしかしたらヨリを戻すっていうこともあるかもしれないんだよな………)
(分かってるのに、俺じゃダメだってことは………けど、やっぱり元彼の所に行かせたくない……)
そう、心で思う俺を残して、バカ女は静かに席を立った。
『………行ってくるね。
小原、どこで待ち合わせる?』
俺の顔を見ないで、心の中も頭の中も元彼のことでいっぱいにして。
それでも俺にそう問いかけけてくるー………
『…………分かんないだろ、お前が戻ってくるか。
だから俺は帰るよ、その方がお前も何も気にせずに』
『いて』
(…………いま、「いて」って………?)
俺の言葉を遮るかのように、バカ女はそう言う。
『………100%ヨリを戻すことなんてない。
あの人はそういう人だから。私、きっとボロボロになって帰ってくるから………。
だから……受け止めてよ、小原……?』
泣きそうな顔で、そんな顔で見つめながら頼まれて……
誰がそれを断ることが出来るだろうかー………
(汚ねーよ、本当にこのバカ女は………)
(俺の方がお前よりも絶対ボロボロだっつーのに………)
『………分かった、珈琲でも飲んでる。
終わったらすぐ連絡しろよ、そしたら受け止めにいくから』
『………ありがとう、小原。
私、無理でも……でも頑張ってくるから。
だから……終わったら肩、貸してね?』
そう言ってバカ女は必死に笑う素振りを見せて、その足を元彼の方に向かって動かした。