君が罪なら俺は罰を受け入れる
君は二度と罪を重ねない

『喜んで受け入れるよ?』







あれから、一年後ー………







『小原君、急遽、式を挙げたいっていうお客様なんだけど。

 なんか小原君に担当を任せたいんだって、知り合いとか?』





デスクの上に山積みになったファイルを横にずらしながら、隣の席の同期の山下が俺にそう声をかけてきた。




もはや隣の席との境界線はなく、山下の積み上げられたファイルが俺の机を少し占領している状態。




俺は横にずらされたファイルを山下のデスクに戻すように押す。











『急遽?いやー俺の知り合いで結婚式するとか聞いてないなー』





『あ、そうなんだ。てか、ファイル戻してこなくていいから!』






『戻すも戻さないも、ここは俺のデスク、そんでもって俺の領地なわけ!

 そこに山下のファイルが攻めてきてるわけ、そんで俺の仕事場が減ってんの。

 いい加減、自分のデスクの上だけで荷物の管理を出来る様になれよ?』





『うっさいなー。いいじゃん、同期なんだから少しは私の荷物管理に協力しなさいよ!』






この溜息しか出てこない言い分に、俺は盛大な溜息を吐いてやった。



そんな俺を山下は軽く睨みつけていたが、俺は気にもせず手帳を開く。








『そんで、俺に担当を任せたいって……あ、お二人の名前を聞かなかったのかよ?』






『あー、聞いた聞いた!えっと……確か……』






(おい、電話を受けたのお前だろ?頼むから“確か”なんて使うなよ……)






『あー、そうそう櫻井さん!』







山下は思い出せたのが嬉しかったのか、生き生きとした顔で俺を見つめる。







(…………櫻井さん……知らないな……)





それは、覚えのない名字だったー………






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