君が罪なら俺は罰を受け入れる
『あ、ちなみに電話をしてきてくれたのは新郎の方だけどね』
付け足したようにそう言うと、山下は再びファイルを俺のデスク側に押し始める。
俺はその様子を目視するも、“櫻井さん”という人を思い出そうと必死だ。
『………いや、俺、そんな名字の知り合い、いないわ』
『ふーん』
俺の言葉にさぞ興味のなかったのだろう。
山下はそう短く返事をすると、積まれたファイルの中から一つのファイルを取りだした。
『あ、そういえば……』
山下はまた何かを思い出すように、そう呟く。
『なんだよ?』
『昔、フードコートで条件を出した者です、とかなんとか言ってたなー』
フードコートで条件を出した者………?
それって………俺の記憶の中に一致する人物はたった一人しかいないー………
『やっぱ知り合い?』
“知り合い”どころではない。
昔、好きだった女の幸せを任せた男ー……
忘れるはずがないー………
『あー…うん、まぁ。』
と、煮え切らない様子で返事をする俺に山下はニヤリとする。
『もしかして……昔の恋敵からの電話だったりして?』
何故か山下は鋭いー………
それとも俺の顔がバレバレだったのかー……