私の恋は、期限つき
大我さんは、車できていていつものように助手席にエスコートされた。

「凜さん。着物姿、素敵ですね。」

車に乗ったら、ニッコリとそう言われた。

大我さんも、ダークカラーのスーツでとてもシックに決まっている。

「あ、ありがとうございます。」

なんだか、照れてしまう。


今日は、どこ行くとか聞いてないんだけど、どこに行くんだろう?


静かに車が走りだした。

大我さんの運転は、丁寧で安心して乗ってられる。






走りだしてから、けっこう時間が経つ。

「あの…どちらへ行くんですか?」

「ナ·イ·ショ!」

いたずらっ子のような雰囲気で大我さんが言う。


どこに行くんだろう?




そう思っていたら、大きなお屋敷に着いた。


えっ?
ここって?


戸惑っている私を大我さんが車の外へエスコートしてくれて、家の中へ招かれた。


玄関は、明るく広くて召使いのような人が出迎えてくれた。


「若旦那さま、お帰りなさいませ。」

丁寧にお辞儀している。

「ん、お祖母さまは、おりますか?」

「はい。奥の間にいらっしゃいます。そちらのお連れさまは?」

「私の大事な人です。」


えっ、えっ、大事な人って…
そりや、プロポーズされたけど…
私、返事してないのに…
それに、お祖母さま?





「凜さん、ついてきてください。」

大我さんが、それは、爽やかにニッコリとして言った。
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