私の恋は、期限つき
「凜さん…父が申し訳ありません。」

なんとも、すまなそうに言う大我さん。


「い…いいえ、お気になさらないでください。」


「凜さん。私からも、お詫びします。」

「いえ、…そんな」

お祖母さまからも言われて、畏まってしまう。
なんせ、プロポーズの返事もしてないのだ。
私からなんか言えるわけもない。

「それでは、お祖母さま、失礼します。」

「おや、気をつけて帰ってくださいね。私は、反対しませんよ。大我さんの思った通りにしてよろしいですよ。」

「はい。ありがとうございます。」


そう言って、家を出た。







そして、車の中で
「凜さん。本当に申し訳ありませんでした。」

「いいえ、ホント気にしないでください。」

「今日は、お祖母さまに紹介したかったんです。私の母は、すでに亡くなっており、お祖母さまが母の代わりに可愛がってくださったので、どうしても凜さんを紹介したくて、勝手に連れて行ってしまいました。
申し訳ありません。」

「そうだったんですか…
でも、私まだ返事もしていないのに…」

「それは、いつまでも待ちますので、気にしないでください。お付き合いしてる人ということでお連れしたんです。」

「ですが…大我さんのお父さまは、反対なさってますよね。」

「そのことについて、心配なさらないでください。大丈夫ですから、変わらずお付き合いください。」

「……」

「凜さん?」

私の頬をいつの間にか、涙の雫が伝わっていた。


「凜」
そう言って、大我さんが私の頬の雫を指で拭う。

はっとして、私は、顔を背けてしまう。


大我さんは、車を路肩に停めて、シートベルトを外してから私の方へ向き、両手で頬を挟んで私の顔を自分の方へ向かせた。
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