V DRIVE
「ビックス!何してるの、早く準備しなさい。」
「うるさいな、やってるよ。」
「今日はあんたがドライバーに覚醒できたことをみんなで祝ってもらう日なんだから、ちゃんとしなさい!」

「ビックスももう15歳か、しかもドライバーに覚醒するなんてな、やっぱ俺の息子だな。」
「あなた、しょうもないこと言ってないで早く行かないとおくれます!」
「かあさん、ネクタイないよー」
「俺のネクタイ貸してやるから、今日はそれつけとけ。」
「ありがとう、とうさん。」
「行きますよ、ビックス、あなた。」

俺たち家族は村の中央にある高台の建物に向かった。
俺は先日ドライバーに覚醒できた。
ドライバーの両親から産まれた俺は覚醒する確率も高い。
ドライバーがいる村は繁栄できる言い伝えがあるため、大事にされる。
現実、ドライバーはその超人的な力からか、重宝される。
今日はそのドライバーに覚醒できた俺の披露会。
まあ、儀式的なものをやることにきまっているのだ。
建物に入った俺はまっすぐに村長のいる舞台の上の演台に向かった。

「ビックス、そなたはドライバーとして、誠実であり、他人のことを思って生きていけることを誓いますか?」

「はい、誓います。」

「皆さん、我が村に3人目の尊いドライバーが誕生しました。」
「ビックスは村の大事な仲間であり、ドライバーですが、一人の人間です。これからも今までと同じように迎えてあげてください。」
「では、ビックス、ドライブを発動してみてください。」

「はい、わかりました。」
右手に力をそっと込める。
そして頭の中でエンジンをかける。

「お~。」
「ビックス兄ちゃんかっこい~!」
「さすがビックス、俺はやると思ってた!」

みんなから賛美の声。
おれはドライブを終了させ、みんなに御礼を言った。
ドライバーになれたこともうれしかったし、まわりに認められたこともうれしかった。

「さてビックス、帰ったらさっそく修行だ!」
「そうねえ、覚醒したとはいえ、ギアチェンジもいまいちだし。」
「そ、それは今からうまくなるんだよ!」

披露会も終わり、俺たち家族も村のみんなも帰途についた。
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