カ・ン・シ・カメラ
自分自身理解していると思っていたことでも、親友から指摘されると心に突き刺さるものがある。


あたしは返事ができず、杏里を見ていた。


「黙っていることも犯罪なんだよ?」


「……わかってる」


「それでも純白は黙っているんだね?」


「……うん」


あたしは頷く。


杏里は小さく息を吐き出した。


「でも、その話を知ってしまって黙っていればあたしも犯罪者……」


「それは違う!!」


あたしは思わず否定していた。


「あたしは映像をこの目で見た。だけど杏里は見ていない。だから、あたしの嘘だと思ったと言えばそれで通ると思う」


あたしは、杏里を共犯にするためにこの話をしたんじゃない。
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