カ・ン・シ・カメラ
それなら、クローゼットの中に隠した隠し撮り写真なんかも、お兄ちゃんには全部ばれていたんだ。


あたしの愛が少し行き過ぎていることも、理解していた。


ほとんど会話もないお兄ちゃんにすべて知られていたとわかると、途端に体の力が抜け落ちていくようだった。


「お前が叶に頼んで監視カメラを買ったことも知っていたし、それをセットする相手の部屋も安易に想像がついた」


だから、お兄ちゃんは颯の部屋にそっくりな部屋を作り、監視カメラを移動した……。


「妹そっくりな女を次々と殺し、弄ぶ。そんな姿を見ればお前はあの男から離れていくと思ってた。絶望し、俺だけを頼りにしてくれるかもしれないって……」


その言葉に、あたしは強く首を振った。


そんな……そんな事で杏里まで殺してしまったの!?


「だけどお前はそうはならなかった。むしろ、今まで以上にあの男を気にするようになって、妹を殺そうとまでして! こうなったのは全部俺のせいだ。俺が、あの男のフリをしたから……。


もう全部終わりにしなきゃいけない。そう思ってた時だった……純白の友達が、俺に告白してきたんだ」


お兄ちゃんの言葉に、心臓が止まるかと思った。
< 199 / 224 >

この作品をシェア

pagetop