意地悪くんと鈍感ちゃんの初恋物語
可愛い仕草だな、もう。
しかも無自覚だから困る。

「仕方がないから、それで許してやる」

「なによ、偉そうに!」

唇を尖らせて睨まれても、全く怖くないし。
可愛いだけだし。

それに、よく買うメーカーのコーヒーを覚えていてくれるんだな。
実はすっごく嬉しい。

コーヒーを奪う名目で、顔を近づける。
やべ、思ったより近づきすぎた。

キスしそうだった……。

近づきすぎた顔を慌てて離しつつ、火照った頬を手で仰ぐ。

「何してるの? 暑い?」

鈍感な彼女は、キスしそうな距離に顔があったことに、気づいていないようだ。
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