意地悪くんと鈍感ちゃんの初恋物語
俺を見上げる立花をもっと見ていたかったけど、彼女はさっさと自分の席に着いてしまったので、俺も渋々自分の席に着いた。
窓際の、彼女の隣だ。

「はい、これ」

彼女が買ってきてくれて差し出された缶コーヒーに、文句を言ってみた。

「このメーカー、ヤダって前に言ったじゃん」

と。

特にコーヒーにこだわりはないけど、困らせてみたかった。
さて、どんな反応をする?

「いつものメーカーの、売り切れてたし。
いらないんだったらあげないけど?」

ちょっと拗ねた。
それでもって、むぅっと言いながら自分の手元にコーヒーを引っ込めた。

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