意地悪くんと鈍感ちゃんの初恋物語
「はいお茶返すね。ありがと、瀬田!」

返されたお茶を一口含みながら教室の入口の向こうを見やると、悔しそうな顔をした塩崎が隣のクラスに戻って行くとこだった。

「瀬田お前、えげつないな……。
わざと見せつけて……」

「なにが?」

後から教室に入ってきたクラスメイトの高橋が、頬を引きつらせていた。
俺はしらばっくれた返事をした。

「なぁ立花、塩崎って知ってる?」

「ん……?」

きょとんと小首を傾げて考え込む立花。

「知らないんだな、やっぱり名前すら」

「あ、分かった! 保険室の先生だ!」

「それは塩沢先生だ」

もう考えなくても良いよ、と、俺は立花の頭を撫でまわした。
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