好きと言えなくて
綾華が緊張すると俺まで緊張してしまうから、演技上のキスなんて意味がないし、簡単に終わらせるからと言うが、そんなものなのか。


見てる側の人はもっと期待をするというか、お芝居だとしても本気でやらないと、見てる側は納得しないと思う。


上手く言えないけど。


「緊張してるのは確かだし、キスシーンは恥ずかしいと思ってるけど、お芝居だからといって手を抜くのは嫌だよ。」


「ふ~ん、なら話は早いな。俺も手を抜かない本気でするから。」


ちょっと、さっきまでと話が違うような。


もしかしてわざあんな事をいったのか。


田城ちひろの策略にまんまとひっかかってしまった。


私に本気を出させる為にいい加減な事を言ったのだ。


「ところで、綾華はいつファースキスをしたのかな。」


もしかして嘘がばれた。


「ファーストの相手は誰?」


どうしよう。


思わず嘘を言っていた。


「ファーストキスの相手は幼馴染みの信吾。」


田城ちひろが近づいて来た。


「おもしろくないな。」


おもしろくないと言われても。


そのままベットに押し倒された。


こんなシーンあったけ?


思わず目を閉じると体が重くなり、目を開けて見ると田城ちひろが私に覆い被さって眠っていた。








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