好きと言えなくて
そんなにない私の荷物をキャリーバックに詰めて、家の事はもう済ませてあるからと咲良母さんに言われ、なぜか新幹線に乗り込んでいた。


綾華ちゃんと又暮らせるだなんて、本当に嬉しいと咲良母さんは言うけど。


本当に大丈夫なのかな。


智尋兄さんはこの事を知ってるのだろうか。


「お腹空いてない。」


空いてるかも。


東京へ着いたら何処かで食事をしようとして言われた。


咲良母さんは居酒屋のオーナーをしていて、都内に数十件のお店があるらしい。


咲良母さんって、そんなに凄い人だなんて驚きだ。


「綾華ちゃんが大学へ行きたいなら、そうすればいいわ。綾華ちゃんには幸せになってもらいたいからね。」


勉強は好きじゃないから、大学へは行きたくない。


咲良母さんに甘えてばかりではいられないから、決心をした。


「良かったら、咲良母さんのお店を手伝わせて下さい。」


咲良母さんはかなり驚いていた。


「綾華ちゃんは私の娘だと思ってるのよ。だから私に甘えてほしいの。」


嬉しいけど、私はやりたいこともなりたい職業もない。


甘えたままでいるのは辛いから。


働かせてほしいとお願いした。


その話は又家に帰ってからにしましょう。


「智尋兄さんはどうしてるの。」


咲良母さんから笑顔が消えた。


「智尋は家にいないし、もう二年も会ってないわ。」


もしかして結婚して家を出たとか。


26才の智尋兄さんが結婚していてもおかしくはない。


智尋の事も家に着いてから話すわと言われてしまい、それ以上の事は聞けなかった。













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