ももたろう的な
ももの野郎が隣町まで川をたどりながら
ババアの洗濯物をさらってっちゃって、
それを追いかけたババアは やっとのことで
洗濯物を取り返したのでした。

「こんなに走らせやがってぼけナス!じゃなくて
くそもも!それにしても、でっけえ桃だなあ。どうせだから
かっさばいてやろうか。包丁あったっけな?」

ババアは風呂敷から包丁を出しました。

「ジジイの息の根を止めるために研ぎ続けてきたけど、
まさか王道に桃なんか かっさばくとは思わなかったよ。」

ババアが桃を切ると中から毒ガスが出てきました。

「うおおお!なんだよ、これ!どんな仕打ちだよ。
食いもんに包丁当てて何が悪いんだよ」

やがて口をふさいでるうちに桃からのガスは
消えて、でっかい赤ん坊が出てきました。

「はれ!ガキだよ」

「ガキっていうな、ババア!」

なんと桃の中から出てきた でっけえ赤ん坊は
クビも座ってるし もう歩けるし 本当
くそ生意気なガキでした。

「くせえガス出したのは何の真似だよ?」

「ああ、これ俺のオナラだよ。桃ん中で しょっちゅう
こいてたからもう慣れたよ」

「桃ん中でオナラ?そんな桃 食えるわけあんめな!」

「何、残酷なこと言っちゃってんだよババア。食ったら俺死ぬじゃねえかよ。」

「おめえの方がよっぽど残酷だべな。毒ガス入りの桃なんて
聞いたことねえよ」

「それがあるのが世の中っつーもんだろうよ。食ったら
口ん中 血だらけんなるとこだったんだぞ。感謝しろよ、教えてやったんだから」

ババアはまた悪巧みをしました。
これだけ口が立つんだからあの頑固ジジイにも
太刀打ちできるだろうと、役所の手続きもそっちのけで
養子に向かいいれました。
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