となりの専務さん
「葉津季からは、それについて何度も相談を受けてた。この間のアパートの外掃除した日に会った時もそうだよ。会ったのは偶然だったけど、そのあと、その日もそれについての相談をいろいろ受けて、俺の父親にも話を聞いてもらおうと、いっしょに俺の実家に行って」

「あ……それで実家に……」

そうだよ、と専務は小さく頷いた。


そして。


「葉津季は特別だけど、俺が意地悪したくなるのは、特別な子じゃなくて大事な子みたい」

「え……?」

「好きな子ほどいじめたくなるってやつかな」

「⁇」

「まだわからないの?」

え……どうしよう、わからない。私、勉強は割とできる方だと思ってたけど、実はバカなのかな。




「……好きだよ」

「え?」

「聞こえなかった? 俺も、君が好きだよ」


……どういうこと?

そ、そりゃあ確かに葉津季さんとのことは誤解だったみたいだけど……でも、だからといって専務が私の告白を受けてくれる……しかも、専務も私のことを好き、だなんて……そんなの、そんなの……


「し、信じませんっ」

「え」

「私、すぐに人を信じちゃうんですが、今回ばかりは信じませんっ」

「どうしたら信じてくれるの」

「そんなの……だって……」


ーー専務が私のどこを好きかなんて、想像もつかないから。


私がそう言うと、専務は「うーん」と答えてから。


「初めて会った時から気になってたよ」

「はい⁉︎」

なにそれ!⁉︎ そんなの、余計に信じられません‼︎
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