となりの専務さん
「そ……それは、ハヅキさんが“特別”だからですか……?」

またしても弱々しく、むしろさっきよりも力のなくなった状態で私が聞くと。


「え? そりゃあハヅキは俺にとって特別だけど」

「ですよね……」

「だって、幼なじみで、兄妹みたいに育って……充分特別でしょ?」

「……ん? はい……」

……あれ? なんだろう。ちょっと違和感。
幼なじみ……はいいとして。
兄妹みたいな存在?


「……異性として好きなんですよね? ハヅキさんのこと」

「え?」

「ん? だって、特別な相手だからこそ、親が決めた結婚はできないって……。そんな結婚じゃハヅキさんは幸せになれないからって……」

「まさか、ずっとそう思ってたの?」

「え?」

私が目を丸くさせると、専務は私の右手を掴んだまま、話を続ける。


「……特別な子だよ。それは変わらない。でも、葉津季と結婚できないのは、葉津季が特別な子だからじゃない。……葉津季には、ほかに好きな男がいるんだ」

「え‼︎?」

「相手は、同じ大学に通う男の子らしくてね。…….君の前でこんなことを言うのはよくないかもしれないけど、その男の子っていうのが、奨学金で大学に通ってる子らしくてね。葉津季の父親からしたら、そんな普通の家の子との結婚なんて許さなくて」

「ハヅキさんの家も大きな会社なんでしたっけ……」

私には詳しくはわからないけど、許嫁を決めるくらいのお父さんなら、普通の家の人との結婚は許さない……っていうのもあるかもしれない。ハヅキさんのお父さんは、ハヅキさんには専務と結婚してはしいんだ。
< 148 / 230 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop