エリート上司と秘密の恋人契約
浮かぶ和真の残像を消そうと頭上をあおぐ。消えろ、消えろー!


「美弥、何やってるのよ。お昼、食べよ」


「あ、はい」


思い出している場合ではなかった。昼休みになっていたので、お弁当を持って、ミーティングテーブルに移る。フロアにはさやかさんと私しか残っていなかった。


「いたいた!おじゃましまーす!」


「は?」


「あら、小沢くん? ここで食べるの?」


コンビニのお弁当を手にした小沢が私の横に座った。突然の登場にさやかさんと驚く。


「はい。傷心の星川を慰めようと思って」


「傷心? あー、だから、元気なかったのね? なによ、もう! それならそうと、言ってくれたらよかったのに」


「そうだよ、もっと早く言いなよ」


さやかさんも小沢も同じようなことを言う。

私は出来るだけいつもと変わらない感じで出勤していた。気付かれたくなかったからだ。

だけど、やっぱりさやかさんは鋭くて、「どこか具合が悪いの?」と聞いてきた。

具合が悪いのは心だから、「元気」と答えたけど、心配をかけてしまって悪いなと思った。
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