エリート上司と秘密の恋人契約
「俺に好きな人がいるって、さっき話したよな?」


「うん?」


「それ、お前だけど」


「えっ? ええ! 私?」


「そう」と素っ気なく言うけど、小沢の頬は微かに赤くなっていた。小沢の好きな人がまさか私だったとは、全然気付かなかった。

「美弥は鈍い」……さやかさんの言葉を思い出す。さやかさんは小沢の気持ちに気付いていたのかもしれない。

好きだと言われて嫌な思いはしないけど、私もはっきり言わなくてはいけない。


「小沢、ごめん。全然知らなくて。あの、気持ちは嬉しいんだけど、付き合っている人がいるから」


「はあ~。俺がのんびりしているからいけないんだけどさ。やりきれない……」


どう返していいか分からなくて、項垂れる小沢を見ることしか出来ない。いつもなら落ち込む小沢を慰めてあげるのだけど、今回は無理だ。


「まあ、いいや。もし別れたらいつでも言って。俺は当分星川が好きだから」


もし別れたら……1ヶ月後に和真と別れる。それを伝えたら小沢は喜ぶの?

< 77 / 232 >

この作品をシェア

pagetop