エリート上司と秘密の恋人契約
でも、今は別れることを考えたくない。付き合い初めて好きになったばかりなのに、別れることなんか考えたくもない。

小沢と話が終わった私は和真の待つ駐車場に行って、車に乗り込んだ。


「美弥、どうした? 小沢に何を言われたんだ?」


すぐ近くの交差点の信号が赤で止まった時、和真が心配そうに頭を撫でてくる。普通にしなければいけないと思うけど、小沢のことを思うと落ち込む。

気持ちに応えることは出来なくても、今まで通りの仲の良い友だちでいたいと思ったけど、もう無理かもしれない。男女の友情は難しい。


「小沢が私を好きだと言って……」


和真に言うべきことではないけど、言わずにいられない。誰かに聞いて欲しかった。


「もう友だちにもなれないのかな」


大事な友だちを一人なくした気分だ。


「バカだな。アイツがもう友だちにもなれないと言ったのか?」


青信号になったから、和真は再び車を走らせる。前を見ながらも優しく話してくれる。私は「ううん」と小さく答えた。

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