声が聞きたくて


私は目をつぶった
雅人さんはいつも不意打ちで抱き寄せてくれる
だから、見ないように……


気配がする……っ。
ピクッ……

抱きしめられた途端
身体中が震えだした
カタカタカタっ……と、
変な汗も出てくる……


だめ……だ。
そう思ったら、肩を引っ張られ
一条さんではない、誰かに抱きしめられた


一条さんじゃない……
社長でもない……雅人さんだ


「アホか、誰でもいいわけないだろ」


大丈夫だ、大丈夫……そう言って
雅人さんは私の身体を摩る


次第に震えは止まっていった
終始無言で見ていた社長


「雅人、夜うちに来い」



もう話は終わりだと言わんばかり
私は雅人さんと一条さんを見送り
自分の仕事に取りかかった。
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