声が聞きたくて


私の視線の先には
黒いストライプのスーツを着こなし
シンプルなネクタイを締め
煙草をふかしている……彼がいた


えっ……
どうして……ここに?


雅人さんは私の目を見て
指に挟めているタバコをクイっと上げた


それは……
私には、そいつは大丈夫だから
そう見えた


私が頷くと、またフッと笑ってくれた



「行きましょうか」


優也と呼ばれた彼は荷物を持ち歩き出す
私も彼を追いかけた


雅人さんにお礼が言いたかったけど
それは無理なんだろう。


だって、あの場で私ではなく
彼の名前を呼んだ
……ってことは、そういうことだ。


それでも私を助けてくれたことには違いない
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