声が聞きたくて
「やめろというのがわからねぇのかっ!」
怒鳴り声がした
その声の持つ主は……彼
彼はこちらを見ていた
チンピラ風の男は、慌てて彼の方へ戻っていく
彼はチンピラ風の男が戻るなり
ガンって、肘で男を殴っていた
そして、私の方を見ず車に乗り込む
今のは……誰?
私が知っている彼ではない
あれが……劉牙組、若頭の劉牙雅人。
「あずちゃんっ!」
後ろから私の駆け寄ってきた社長
私が震えているのに気がつくと
自分の上着を私にかけてくれた
けど、私は恐怖で身体が動かない
雅人さんのもう一つの顔を目の当たりにして……何も出来なかった。