声が聞きたくて


コン、コンと窓を叩く
中には売り上げの集計をしている三代店長


私に気が付いて
施錠したドアを開けてくれた


「まさか、矢沢さんから来てくれるなんて思わなかったわ」


私は三代店長の返信を返せてなかった
何から話していいのか……
いや、話せるのかわからなかった


だから、会った時に
何を話すかを決めようと思った


「これ、片付けちゃうから待ってて」


三代店長は帳簿やパソコンに目を移す
私は久々に店内を見ていた


三代店長がいる店舗
ここから私はスタートした
ここのアルバイト募集の張り紙を見て
社長に出会って、今がある


懐かしい……
そう思っていたら
ある花に目が止まった


これ……


それは、あの薔薇
雅人さんと私が初めて会った時に
アレンジした花


けど、この花……どうしてここに?
この花は値段が張る
だから、客層に合わない花は置かない


この店舗は……客層が全く違う


「その薔薇?」


私があまりにもずっと見ていたからだろう、三代店長がチラッと私を見て言う
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