胡蝶の夢
胡蝶の夢
秋から冬えと木々の衣替えが始まった。クラスは受験モード。みんな勉強ばっかり(*_*)意識高い子とかさ、休み時間まで勉強の話ばっかり!私にはそんなの関係無いんだよっ!
先月、東京の私立大学から合格通知が届いた。自慢じゃないんだけど、陸上では県大会でも入賞してるの!
だから合格しないとか露にも思ってなかった。スポーツ推薦って特だね!
「なぁ、受験も近いしさー。最後に肝試しとかやらん?」
お調子者の淳である。髪型とかもツンツンにしちゃってさー、なんて言うか、最近の高校生!って感じ?
ガキ臭い!
もうちょっと勇希くんを見習えばいいのに!
「名案だねぇ!佐和子のお化けも出てくるで!」
誰かが茶々を入れた。
ギャハハハとみんなが笑う。下品な声!
佐和子とは三年間ずーっと一緒のクラスだった。いっつも下を向いちゃってさ、暗い感じ。昔はそんなのじゃなかったのに。もっと明るくしてりゃーさ、もっと友達だってできたのにさ。いじめられて、暗くなって、下を向くようになって、不登校になって、先月死んだ。でも、私には関係無い。
「こらこら、まあ、でも最後に打ち上げとかはいいよね!」
勇希くんの涼やかな声がする。きっとマイナスイオンとか出てるんだろうね!いつ見てもイケメンだし。女子ウケもとてもいい。まず、ガキどもとは違うんだよね、大人びてて。
「そうやんなー!やっぱり!行くで!」
淳の明るい声。
「来る奴は今日の8時半校門前な!」
担任が入ってくる。HRが始まった。
今日も一日が始まる。
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