小悪魔な彼の想定外な甘い策略
「宮下さんなんて、職場で臭いの残る食べ物はやめておくように、とか、言って来るんすよ?」

……一回注意されてんのかーーーーーーーーい!
じゃあやめようよ。すっぱりやめようよ。

家で食べてくるとか帰ってから食べるとか頭使おうよ!!

私の脳内の盛大な突っ込みが伝わったのか、キリッとした顔で梶山君が私を見る。

「大丈夫です、今日は宮下さんお休みですから!」


そうじゃない、そうじゃない。
そういうことじゃないんだよ、梶山君。


でも、にこにことカップラーメンを啜る姿は何となく憎めないという。


「……梶山君、末っ子?」

「うっそ、すみれさん、スゲー、占い師みたい!」

「うわ、あたり?」

「なんすか、うわって。7つ上の兄貴がいますけど」


悪い子じゃないんだよね、きっと。



それから、ずぞぞぞとのんきな音の響き渡る事務室で、私は準備を進めた。

生真面目な雰囲気の、でも常識的なジェントルマンの宮下所長がちょっぴり気の毒だと思いつつ。
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