小悪魔な彼の想定外な甘い策略
それこそ、もう取りにも行かず、このまんま終わりにするべき?

でも、もしも、万が一。まだその靴下に蓮田さんが気がついていなくて、私が会いに行って、色々とんとんと話が進んで、蓮田さんと付き合える、みたいな、ミラクルが起きたら?!

きゃーーーーーーーー。

なくも、ない。

だって、辛うじて残る記憶の中では、まるで蓮田さんと私は思いが通じあっているかのようなトークの流れだったはず。


ああもう、どうしたらいいんだろう。


「……すーちゃん先生、どうしたの?」


「え?あ!はい!?」


急に話しかけられてびっくりする。慌てて声のした方を振り向くと、中3クラスの女の子、室岡さんで。

「すっごいボンヤリしてたけど、大丈夫?あのさー、この間の英語のやつ、もう一回聞きたいんだけど」


中3の、英語クラスが始まる19時までは、たしかにまだ時間があって。
講義の前後に生徒が質問をしてくることは珍しくないんだけど、色んな意味でびっくりしてしまった。
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