私たちの物語
誰かの家の前

あ、この家、柴犬飼ってる!

超可愛い!!


ピーンポーン

透華がインターフォンを押す。


あれ、小野寺さん?

ん?

どっかで聞いたことあるよーな……


「はーい」


ガチャ

ドアが開く。



体が固まる。


目の前の光景が信じられない。

うそっ!

だって、これ。

あ、小野寺ってあの人の名字だったー!


いや、忘れてたよ。

うん。

私もう、好きな人失格じゃない??


てか、向こうも固まってるし。

透華はニヤニヤしてるし。

いや、やめよー?それ。


「うわ、サクじゃん!市村さんも。

どしたん。」


そう言ったのは、あの人の家から出てきたバスケ部・背番号12の悠塵〈ゆうじん〉(名字省略)だった。

ちなみに、みんなこいつをチリと呼んでいる。

髪がチリチリで、名前にチリが入っているからだ。

こいつが私のことを馴れ馴れしくサクと呼ぶのは、2年の時同じクラスだったからだ。
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