生神さまっ!
「けどな、同情の何が悪いんだよ。

よく考えてみろよ。同情するなってことは、自分をかわいそうと思わないでくれ、だぞ。


じゃあ、いざかわいそうと思われずに金だけポン、と渡されたら…

浅いものならまだしも、深い深い悲しみなら…逆に悲しくなるだけだろ」




"同情するなら金をくれ"



よく言う言い回しだけど。

…確かに…もしも亮太が私の状況にあの時気付いても。


かわいそうなんて思わないで…ただただお金を私に渡してたら…



…私はもっと、悲しくなる。惨めになって、孤独を感じる。




「悲しいことはな、なんだかんだ共有してもらうと紛れるもんなんだよ。


気遣わなきゃいけねえ相手なら、言わなきゃいい。

一緒に悲しんでくれるようなヤツを…無意識に選んでんだよ」





夏樹の赤い目が、私をとらえる。

赤い赤い綺麗な目は…前より確かに、明るさを増していて。




「秋奈が俺たちを…選んで、認めてくれたこと…俺はすっげえ嬉しい。

俺も…秋奈に頼っちまったし。


これで俺…秋奈とホントの…照れくさいこと言うけどさ、なんてゆーか…


…ただの戦友じゃない、特別な戦友になれた気がする」




ホントに恥ずかしそうに夏樹は目を逸らした。


けど、すぐに笑った。



その笑みは、前より確かに小さいかもしれない。

けど…


前よりも、光っている笑顔だった。






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