あるワケないじゃん、そんな恋。
(それは最初からだったか……)


フレアスカートとスキニーパンツくらいの差あったよね。


女子力は断然芹那ちゃんが上。

積極性もね。


(その点私はダメだなぁ……話しかけるなって言われたら、ホントに意地張って話しかけないもん……)



どうやって接していいか分からない。

羽田の考えてることも今の気持ちも全部サッパリわからん。



(これだから恋愛処女だの、ガキだの言われるのか…)


大人らしく素直に謝れば良かったのかな⁉︎


「羽田くん、ごめんね…」って???




(…それ無理。絶対キャラじゃないし……)



ドン引きされておしまいだよ。

あのクリスマス前と同じ結果になる。






「……あの…上の棚にある本取って頂きたいんですけど……」


レジに来た女性客が一人、棚の上方を指差した。


「はい!どれですか?」


一緒に棚へ移動する。

脚立に乗るのは久しぶり。

何度乗っても緊張するなぁ。



「その黄色の本の左側にある水色の背表紙の……そう、それです!」


ううむ。

パンパンに本詰めてるなぁ。


(なかなか引っ張れない……でも力入れ過ぎると落っこちてきそう……)


指一本引っ掛けて、何とか本を取り出す。


「ふぅ……お待たせしました……」


振り向いた途端、視界が真っ暗になった。


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