あるワケないじゃん、そんな恋。
受験終わるまで、私も動いたりしないからさ。

昨日だって、あの後ずっと羽田をシカトし続けたんだよ。

恥ずかしいのに寄ってくるんだもん。

これまで以上に、近い距離に来ようとするんだもん。



お陰で心臓がどうにかなりそうで。

思わず逃げ出してーーーー



「立場が逆転した」…って、店の皆に言われたけどぉぉ。



この状況になるのを避けてたんだよ。

芹那ちゃんがショック覚えて、勉強どころじゃなくなったら困るから!!

どんなに優秀な子でも恋愛関係は一番響くって本にも書いてあったし、実際、失恋した同級生が志望校に落ちたのも見たことあるしさ。


だから、私なりに気を使ったんだって!

逃げる理由も話せないから、「寄らないでっ!」しか言えなかったけどぉぉぉ。



グスグス泣かないでよ……。

私がイジメたみたいじゃん。

こんないい大人が高校生を前に泣かせてる場面なんて周囲から見たら変でしょ。

泣くのやめよーよ。

つーか、怒るのもナシで。





「私………」


グスグス泣いてた芹那ちゃんの唇が、震えながら動きだした。


「ん……?」


近づいて顔を覗かせる。

潤んでる彼女の目は、ウサギのように真っ赤に染まっていて………。



「私……今から洋ちゃんに告白してきます!!もう菅野さんはアテにしない!!自分の道は、自分で切り開くっ!!」


「えっ⁉︎ …あっ!ちょ…ちょっと、芹那ちゃん……っ!」


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