あるワケないじゃん、そんな恋。
逃がすかよっ!
(馬鹿力女め、何をそんなにビビってんだよーーー)



思いきり突き飛ばしやがって。

俺のこと好きだって言ったじゃねーか。



「あれ?……もしかしてやっぱ聞き違いか…?」


今更ながら不安になってくる。

あの日の朝、菅野はひどい二日酔いで、頭は痛そうで目もトロン…としてた。

口走った一言はやっぱうわ言で、「好き……」なのは俺じゃなく、ペソとかいう飼い犬なんじゃね?


(あいつならあり得る……。でも、俺はもう譲らねーし……)



ぐいぐい押して嫌がる女なんて菅野くらいだ。

これまではそんな女いなかったし、大抵はお任せします…って感じだった。

そんなに個性強くしろって言ってねぇ。

恋愛処女なんだからこっちに任せとけばいいんだ!


どうせ自分からは仕掛けてこれねーだろ!!

変に甘えモードに入ったりする程度で。



「…ホントに可愛げのねー女だな」


飲み屋での行動が知られてるからって話しかけるな…っていうのはどうなんだよ。


関係ねーじゃん!

いいじゃん!話しかけても。


「なんだよ、店長たちの知り合いがいる…って……」


あの店にそんな奴いたか?

いたとしたら、俺の元カノくらいだろ。

よく店に入り浸ってたもんな。

店長たちのことも知ってるし。



(…でも、待てよ。あいつ結婚するって言わなかったか?)


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