あるワケないじゃん、そんな恋。
ーー今頃、羽田は私と初チューしたことを自慢してるのかもしれない。

恋愛経験ゼロの私から奪い取ったファーストキスは、あいつの白歴史として残るんだろうか。

私の心の中には黒いリボンの掛けられた記憶としてしまい込まれるのに、どうしてあいつだけが喜ぶの⁉︎


そんなの許せない!

私の大事な夢をぶち壊しておいて、あいつだけがハッピーな気持ちになるなんて…!



恨めしく見上げた本棚。

目の前には、沢山の恋愛話。


成り行きで彼女になって、やってられん…と思ったけど………


(ーーー逆にあいつをとことんハッピーにさせてやる⁉︎ …恋なんてしてもいないのに、落ちたフリしてみる⁉︎ 恋愛授業は羽田でなくても受けられるはず。だって私の目の前には、沢山の恋愛が並んでるんだもん…!)


棚の本を見て、悪い考えが思い浮かんだ。

私の大事な夢をぶち壊した羽田を思いきりハッピーにして突き落とす。


究極の上げて下げるをしてみせて、今の私のショックを分からせる。

夢をぶち壊したその責任を、あいつ自身で負わせるんだ……!






「………菅野」



ほら来た。

私の恋の練習相手。

授業させてるつもりにして、実際の授業は本から学ぶ。

シチュエーションは五万とあるから大丈夫。
どんなパターンにだって対応できるよ。


覚えてな、羽田。

私は今日のこと、絶対に忘れたりしないんだからね!



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