あるワケないじゃん、そんな恋。
「ほら、これ〜!」


バッグの中から出てきたのはブルーのグラデーションカラーの帽子。


「フリンジ付けてみた!可愛いでしょー!」


デザインなんかどーでもいいよ。
マジで嬉しーから。


「被らせてあげようか?なんて」


「是非!お願いします!!」


こっちまで移っちまったよ。菅野の変モードが。


「じゃあ、ちょっと失礼して…」


ゆっくり立ち上がった菅野が俺の前に立った。

観覧車はそろそろ真上。
丁度眺めもいい頃だ。


ふわっと風をはらんで髪の毛が温さに包まれた。


「あったけ〜〜!」


一気に体温上がるっ!


「そう?良かったぁ!」


目の前で花のように笑うなよ。
チューしたくなるだろう。



「菅野……」


手ー伸ばしたら叩かれんのかな。
でも、抱きしめてぇ……!


「ん?」


首なんか傾げるなっ!

我慢できなくなるからっ!!


(…もういいや、手ぇ出しちゃえ!)


紳士なんて向かねーんだ。
俺は平民だから。


「菅野ぉ〜〜!」


……って何だ?

いねぇし!!


「もう下り始めたね〜〜!この観覧車、結構すぐ終わるね〜〜」


(お前なぁ……人の気持ち煽んのやめろっ!この天然女がっ!!!)



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