あるワケないじゃん、そんな恋。
あるワケないじゃん
「とにかく、マズい!…悪ぃけど俺行くわ!詳しいことは今夜な!…あっ、お前、本部にいる間は電話してきてもダメだぞ!遊んでると思われてアウトだから出れん!先に言っとく!」


「う、うん…」


慌てる羽田を見て、ペソが一緒になってソワソワしだす。

お陰で私はペソを押さえ込むのに忙しくて、おちおち羽田の話も聞いてられない。


「派遣の話はまた聞かせる。あんまカッコのいい話じゃねーからホントはしたくねーけど、今回は特別に話してやるよ。でも、その代わり……」


立ち上がった羽田から腕を掴まれた。

引っ張り上げられた途端、羽田の顔が近づいてきてーーー






「…美結とキスしたい。目、閉じて」


ドキンッ!……と、すごく大きな胸の音がして、ぎゅっと目を瞑った。


近づいてきた羽田の体温を感じて、全身に緊張が走る。


やっと理想に近づいたキスに、胸の高鳴りはマックスに近かった。





指が下顎を持ち上げる。

その瞬間、キュッと締まる唇。


あったかいものが、そっ…と触れた。

小さく息を漏らし、優しく角度を変えてく。



「美結……口開けて……」



羽田の声がとびきり優しいの。

だから、どんどん力が抜けてってーーー。






気がついたら、舌が口の中を動いてた……。

初めて感じるような滑らかな感覚に背中の筋肉がピクピクする。

羽田のジャンパーを握ってる指先に力が入り、その力をどんどん込めていったらーーーー





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