あるワケないじゃん、そんな恋。
「うぷっ!ちょっ……待っ……!やめっ……!」


変な声出してごめんなさい。
この子が………


「ーーーペソ!ノンッ!」


「キュゥゥゥゥン……」


垂れ目して可愛く項垂れる飼い犬のペソ。


「そんな顔見せてもダメだからね!顔舐めるのはなし!ハウスへゴー!!」


悲しそうな顔して俯きかける。

ちょっと心が痛みかけて、(あっ!そうだ!)…と思い立った。


「また泣いてみちゃう?私の涙見てさすがの羽田もオタオタしてたし!クリスマスイブに女の涙なんてシチュエーション、最高じゃない?絶対にグッとくる!きっとくる!!」


問題はどうやって泣くかだよね。

さすがに今日みたいなショックが何度も続くとは限らないし、それ以上にショックなことがあっても困る。

ここはやっぱり羽田の計画に感動して涙見せるとかどう?一瞬にして羽田をメロメロに陥らせて、してやったり…とか…。


(メロメロになった羽田かぁ……どんななんだろ……)


くくく…っと想像しただけで笑っちゃう。

いつも人のことバカにしてツッコンでばかりの羽田を、ぐうの音も出せないくらいハッピーにすんの!

そんでもって、そこで落とす。


「うんっ!決まりっ!そうしよ!」


(見てな〜羽田ぁ。絶対にハッピー気分にさせてやるからね!)


フッフッフッ……と魔女みたいに笑う私をペソが毛を逆立てるようにして見てる。
逆襲を誓う私の雰囲気を微妙に察知したみたいだ。
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