あるワケないじゃん、そんな恋。
天然ってこえーな
「イ……イブデート券って何よ⁉︎ 」


睨むような顔つきで聞くことか?と言いたくなるのを我慢した。

ここで菅野の機嫌を損ねたらアウトだ。

抑えろ俺。

これも全て後の計画の為だ。


「何って、これ一応デートだろ?夜景もイルミネーションもケーキも一編で楽しめるじゃんか!お前のリクエスト通り!」


「そ、そうかもしれないけど……!」


言い足りない菅野の言葉を遮るように、目の前に降りてきたゴンドラの扉が開けられた。


「どうぞ〜!足元に気をつけてお乗りください〜!」


学生バイトらしき男に声をかけられ、先に菅野を押し込んだ。

後から乗り込む俺を菅野はまだ睨んでる。

そんな腹立たしい顔される覚え、こっちには無いってーのに。



無言のまま向かい合うように座った。
ミニスカの菅野の足を直視しないで済むよう、直ぐに窓の方へ視線を逸らした。


ユラッと揺れながら動き出す観覧車に、菅野が一瞬ビクッと背筋を伸ばす。

その様子を横目で眺め、窓の外に広がる夜景を見た。


ゆっくりと地表が遠くなってく。
その景色を確認しながら、チラッと菅野の様子を気にした。




(えっ……?)



向かい側に座ってる菅野は、カチンコチンに緊張した面持ちでいた。
両手は膝の上に真っ直ぐと下ろし、キュッと脇を締めてる。

いつもは喧しい唇を噛み締め、目線は外を見ず、じぃ…っと床の一点だけを見つめてる。



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