あるワケないじゃん、そんな恋。
目の前でライトがチカチカと点いたり消えたりする観覧車は、複合施設のシンボルとも言われてる。

それを指差し、羽田が弾むように言った。


「あれに乗るぞ!」


「えっ、あ…か、観覧車に⁉︎ 」


「そっ!ほら、行くぞ!」


エスカレーター上るまでって言ったのに、そのまま腕組みされて連れて行かれた。

羽田はポケットの中からチケットを取り出し係員に手渡す。


「イブデート券ですねー!じゃあ二周分ということでよろしいですかーー?」


係員の女の子が高い声で聞く。

それに頷いた羽田と一緒にゴンドラの前で待たされた。




「……ちょっと……」


声を低めて羽田を見た。
振り返ったやつは、さっきみたいな赤い顔もしてなかった。



「…何だよ」


こっちの表情見るなり眉をひそめる。
どうやら渋い表情をしてる私が、余程気に入らないらしい。




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