あるワケないじゃん、そんな恋。
そもそも、あのバスだけで十分だったのよ。

ケーキとか観覧車とか、そんなオマケ要らなかったの!

適当にあしらってくれて、私のやる事に喜んでくれれば良かっただけ。


ーーその方が仕返しし易かった。

こんなふうに持ち上げられると、どうしても迷いが出てくる。

ファーストキスのお詫びも兼ねてると言った羽田の言葉が、真実みたいでーーー。




「言うてみ?『羽田くんありがと』って!」



ニヤニヤしながら強要するな!
それも恋愛授業の一つか⁉︎




「あ………」




乗るワケじゃないからね。



「りが………」



絶対乗ったりしないからっ…!





「とお……でするなら北海道!!」



ガクッとシートからずり落ちる羽田の側に置いてあったケーキの箱を空かさず取り上げた。



(やりぃ!私の勝ち!)


「ケーキ食べようっ!皆が美味しいって言うのなら一度は食べみないとね〜!」


フンフン〜♪ と鼻歌交じりに箱を開ける私を睨みつつ、羽田は体勢を立て直した。




「……お前、マジで可愛くねぇ」


負け惜しみみたいな言葉吐いてる。

そんなに残念がらないでよ。

今の所、あんたの完全な勝利だから。



「何か言ったぁ?ケーキやらないよぉ〜?」



ひひひ…と意地悪く笑って箱から取り出して見せびらかす。

小さなシュークリームが山のように積み上げられた可愛いケーキ。

ラズベリーソースと生クリームでデコレーションされてあって、てっぺんにはミントの葉が飾られてる。

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