あるワケないじゃん、そんな恋。
なんでこうなる…⁉︎
羽田の後ろを指差して、光の集まる場所を見据えた。

海を挟んだ反対側の陸地に見える光の宝石箱みたいな場所を黙認し、呆れるような声を出す。


「なんだ……港ホテルのある場所じゃねーか……」


やれやれ……って、何でそんなにクールなの⁉︎ あんな綺麗なのに。


「ねぇ、ちょっと、場所変わってよ。じっくり見たいから」

「えーー?いいけどぉー?」


揺れ動くゴンドラをお互いに同じタイミングで交代する。
変なトコで気が合う羽田とは、こんな時には便利だと思う。



「きれ〜〜!すっごい!TDLみたい〜〜!!」

「…って、おい!行ったことあんのかよ?」


拗ねたような羽田がツッコミを入れる。
何故だか不機嫌なその顔を見て、「あるよ!」と答えた。


「高校の頃、修学旅行で行ったの!やっぱりこんな冬の日で、クリスマスイルミネーションがイッパイで、すっごく綺麗だった!…思い出すなぁ……17歳の私。ウブだったよね〜〜!」



きゃっきゃっと皆で燥ぐのが大好きだった。
女子とばかり連んでる私は、男子から見ると声のかけにくい存在だったかもしれない。



「もう一度行ってみたいなぁ……でも、その時はホントに好きな人と一緒がいいなぁ……」


今みたいな恋の練習相手とじゃなくて、ホントに心から好きだと思う人と行きたい。
羽田がどんなにいいプランを用意してくれてても、やはりそこに愛情が無いと響かない…と思うから。



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