おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―
私はぱんぱんに膨らんだ旅行鞄とスーツケースを両手に持ち、着られるかぎりの服を着こんだ異様な姿で、

とりあえず寝られるところを見つけようと街をさ迷っていた。


それは、まだ冬から春になったばかりの時期で、夜になるとかなり冷え込んだ。

野宿するのはさすがに無理だった。


お金は持ってはいたけど、それから部屋探しをして引っ越して家具を揃えて、という一連のイベントを考えると、ホテル暮らしなんていう贅沢はできなかった。

お金がかからず、安全にそれなりに快適に寝られる場所。


そんな都合のいいところが見つかるわけもなく、私は大荷物を抱えたまま途方に暮れて、泣きそうな気分になっていた。

そのとき。


『あれ? もしかして………宇佐美さん?』


―――救世主の声が聞こえてきたのだった。


駅前のベンチに座っていた私は、涙目で顔をあげた。


そこにいたのは、同期で入社した日比野悟という男性社員。

それまでほとんど話したことはなかったものの、入社二年目で営業部のトップに登りつめた同期のエースだったので、もちろん顔も名前もしっかり認識していた。




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