クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
朝比奈先輩に自分の事を気づかれなくてホッとしていいはずなのに……。何なんだろう、胸に広がるこの虚しさは?

「池野さん?顔色悪いけど大丈夫?」

「……だ、大丈夫です。ちょっと緊張しちゃって」

「緊張と言うより……朝比奈を見て怯えてる感じだったけど。普通、君ぐらいの若い女の子が朝比奈見ると、だいたいの子は目がハートになるんだけどね。君の反応は興味深いね」

真田さんが面白そうな目で私を見る。

「ちょっと課長さんを見て圧倒されただけです。高校の時も生徒会長で凄い人だなって思ってましたけど、近くで見るとその存在に圧倒されちゃって。私みたいな平凡な女からすると、天上人って感じですね」

私は作り笑いをしながら必死で言い訳する。

「天上人ねえ。なら、明日から朝比奈と同じ島で仕事する君も同じ天上人だよ」

真田さんがクスッと笑って私をからかう。
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