クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
「そ、それは絶対にないです!」

私は強張った笑みを浮かべながら否定した。

彼と私の住む世界は全然違うもの。たまたま職場が同じというだけだ。

「世の中に絶対なんて事はないから。今日はぐっすり寝てね。また明日」

真田さんがにこやかに笑いながら手を振ると、私はエレベーターの中に入り彼に向かって頭を下げた。

エレベーターの扉が閉まると、私はぐったりして後ろの壁にもたれ掛かる。

朝比奈先輩と再会してぐっすり眠れる訳がない。心臓がまだドキドキしている。

今日、彼と再会してわかった事がある。

彼が近くにいるだけで冷静さを失う。今もこうして彼の顔を……彼の声を思い出してる。忘れたいのに忘れられない。

私はまだ……彼に捕らわれたままだ。

「いつになったら彼から解放されるの?」

額に手を当てながら、私は悩ましげに呟いた。
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