クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
買ってもらったばっかりの指輪が濡れてはいけないと思って朝比奈先輩を止めたが、彼は気にすることなく私の手を冷水で冷やし続ける。

「構わない。痕が残ったら困る。このまま、しばらく冷やせよ。それで痛むようなら医務室に行け」

「……はい」

「朝比奈先輩、真田さんに口止めしなくていいんですか?」

真田さんがいろんな人に喋ってしまえば、この話、ますます収拾がつかなくなる。

私はミーティングルームに戻ろうとする朝比奈先輩を呼び止めた。

「あいつが素直に俺の言うことを聞くとは思えないが」

私の言葉にも朝比奈先輩はどこか余裕顔。

それはそうなんだけど……。

「でも……」

私が言いたいのはそう言う事じゃなくて……五十嵐さんにそう思われても平気なんですかって事なんだけど……。
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