クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
16、憂鬱な誕生日
定時後の営業課のオフィス。今日は佐藤さんの最後の日で、朝比奈先輩以外の営業課のメンバーが集まっていた。

朝比奈先輩はというと……五十嵐さんを連れて札幌に出張中。

「今まで本当にありがとうございました!プレゼントとお花もありがとうございます!」

営業課のみんなに囲まれ、佐藤さんがピンクの花で統一した可愛いブーケを手に持ち笑顔で挨拶する。

このブーケは織田君が佐藤さんに内緒で手配したものだ。

彼に昨日メールで相談されて、私は普通の花束よりもブーケの方が可愛いと勧めた。

隣の席なのにメールで相談されたのがちょっと引っ掛かったけど……。

単に佐藤さんにバレないようにするためだったのか、それとも朝比奈先輩との事で私と直接話すのが嫌だったのか……。

後者だとしたら、ちょっと凹む。

「朝比奈が札幌出張でこれを預かったんだ」

真田さんが柔らかな笑みを浮かべながら、佐藤さんに封筒を手渡す。
< 213 / 297 >

この作品をシェア

pagetop