ヒロインになれない!
あおいちゃんは、お弁当をもぐもぐ咀嚼しながら、真顔でうなずいた。
「子供って、最初に聞いた時、驚いたけど……親戚の子供とか年の離れたご兄弟なんやろうな、って思い直しててん。」
「うん、普通そやろね。でも、ほんま、やねん。」
「あ!ほな、お父さんが、噂の『小門(こかど)先輩』?」
あおいちゃんは苦笑した。
「ううん。頼之(よりゆき)さんは、父親になろうとしてくれとー人。本当の父親は、去年死んじゃった。」
え……。
「そうやったんや……大変やったね……」
それ以上何も言えなくて、しょんぼりする。
あおいちゃんはしばらく黙ってたけど、お弁当を食べ終えると、私に向き合った。
「私、しっかりしてるって勘違いされよーけど、ばり依存症やねん。せやし頼之さんにほだされるのも時間の問題と思っとー。……佐々木の気持ちは去年からわかっとーけど、私には対象外やから。由未ちゃん、がんばりや。応援しとるから。」
私は、口に入れてたお米を、飲み込んで、少し咽(む)せた。
……いろんな意味ですごいこと言ってるよ、あおいちゃん。
あおいちゃんに背中をさすってもらってると、私達の近くに転がってきたボールを追いかけて和也先輩が走ってきた。
「そんなとこで食っとーと、弁当、砂まみれになるで!」
「あ、はい、もう終わります。」
慌てて私はお弁当箱を片付ける。
「佐々木かて、ここで食っとーくせに。しかも早弁のくせに。」
あおいちゃんがそう言うと、和也先輩は
「せやし知っとんねん。風の強い日と乾燥した日は、蓋でガードせなあかんねん。」
と、にやりと笑って、また走って行った。
早弁……。
だから、お昼休みになった瞬間からグランドに飛び出せるのか。
ワイルドだなあ。
知れば知るほど、和也先輩は、今までの私の周囲にはいないタイプで、驚くことが多い。
……そして、どんどん好きになっていく……気がする。
ゴールデンウィークには、早くも高校総体(インターハイ)の県予選が始まった。
宣言通り、あおいちゃんは、我が子を連れて見学に来た……ただし、子供を抱いていたのは、あおいちゃんではなく、前年度サッカー部キャプテンの小門頼之さんだった。
頼之さんは、噂通りかっこよかった!
真面目で精悍な佇まいからは想像もつかないほど、熱い人らしく、早速後輩たちに檄(げき)を飛ばしていた。
……でも、あおいちゃんと赤ちゃんに対しては、常にとろけそうな優しいまなざしで……
「あおいちゃん、学校と全然違う……光り輝いてるみたいやわ。」
「子供って、最初に聞いた時、驚いたけど……親戚の子供とか年の離れたご兄弟なんやろうな、って思い直しててん。」
「うん、普通そやろね。でも、ほんま、やねん。」
「あ!ほな、お父さんが、噂の『小門(こかど)先輩』?」
あおいちゃんは苦笑した。
「ううん。頼之(よりゆき)さんは、父親になろうとしてくれとー人。本当の父親は、去年死んじゃった。」
え……。
「そうやったんや……大変やったね……」
それ以上何も言えなくて、しょんぼりする。
あおいちゃんはしばらく黙ってたけど、お弁当を食べ終えると、私に向き合った。
「私、しっかりしてるって勘違いされよーけど、ばり依存症やねん。せやし頼之さんにほだされるのも時間の問題と思っとー。……佐々木の気持ちは去年からわかっとーけど、私には対象外やから。由未ちゃん、がんばりや。応援しとるから。」
私は、口に入れてたお米を、飲み込んで、少し咽(む)せた。
……いろんな意味ですごいこと言ってるよ、あおいちゃん。
あおいちゃんに背中をさすってもらってると、私達の近くに転がってきたボールを追いかけて和也先輩が走ってきた。
「そんなとこで食っとーと、弁当、砂まみれになるで!」
「あ、はい、もう終わります。」
慌てて私はお弁当箱を片付ける。
「佐々木かて、ここで食っとーくせに。しかも早弁のくせに。」
あおいちゃんがそう言うと、和也先輩は
「せやし知っとんねん。風の強い日と乾燥した日は、蓋でガードせなあかんねん。」
と、にやりと笑って、また走って行った。
早弁……。
だから、お昼休みになった瞬間からグランドに飛び出せるのか。
ワイルドだなあ。
知れば知るほど、和也先輩は、今までの私の周囲にはいないタイプで、驚くことが多い。
……そして、どんどん好きになっていく……気がする。
ゴールデンウィークには、早くも高校総体(インターハイ)の県予選が始まった。
宣言通り、あおいちゃんは、我が子を連れて見学に来た……ただし、子供を抱いていたのは、あおいちゃんではなく、前年度サッカー部キャプテンの小門頼之さんだった。
頼之さんは、噂通りかっこよかった!
真面目で精悍な佇まいからは想像もつかないほど、熱い人らしく、早速後輩たちに檄(げき)を飛ばしていた。
……でも、あおいちゃんと赤ちゃんに対しては、常にとろけそうな優しいまなざしで……
「あおいちゃん、学校と全然違う……光り輝いてるみたいやわ。」