こじらせ女子の恋愛事情
“ゲラ”とは、実際に書籍に印刷される形での原稿のことである。

あれ、ものすごい神経を使わないといけないんだよね…。

300ページ以上もあるから1ページ1ページと丁寧にチェックをして、赤ペンでちょいちょいと加筆修正をして…ああ、思い出しただけでも神経が削れてきた。

「あっ、そうだ」

そう呟いた後、テーブルの隅で充電をしていたスマートフォンを手に取った。

スマートフォンはすでに充電が終了していたので、コードを抜いた。

――詳しいことは、弁護士さんの彼に聞いた方がいいと思いますよ

昨日の夜に言われた松坂くんの言葉が頭の中によみがえった。

松坂くんが私のおじさんのことを知っていたように、おじさんも松坂くんのことを知っているんだよね?

電話帳からおじさんの名前を出すと、電話をかけようとした…けれど、大丈夫かな?

画面の右上の時計を確認すると、午前11時を過ぎたところだった。

この時間は、おじさんは仕事をしているはずだ。
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